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闊歩する人々

いつだったかな


5月とか、気候の良い季節だったと思う

僕は車の助手席に座って

流れていく街の風景に見入っていた

かつて暮らした街を忙しそうに歩く人々の光景を

なんて美しいのだろう、と思い眺めた


その頃の僕と言ったら、

自分から外に出られないありさまで

靴を履くのだって恐ろしかった

靴底の深淵が僕の全てを

のみ込んでしまいそうで恐かった


新しい生活

って、ステキな響きは空想妄想の中だけで

現実なにも出来ない僕がいた

僕は、そんな自分がイヤで

でも、何をどうしたらそんな自分から抜け出せるのか

全く分からず

まるで翼を失った鳥・・・なんて言うと

表現が良すぎる

泥の中を這いつくばっていた


人々は、それぞれの用事をかかえて、

春の夕方の街を闊歩する

それぞれの目的のために

どこかへ向かって歩く

日常的で、当然で、

仕方なくやってるんだよ

やらなきゃ、どうしようもないでしょ

なんて、そんな人もいるだろうけど


それでもやっぱり美しかった

そこには、時間の流れがあった

季節の流れ、人の流れがあった

変わりゆく光景があった

美しかった

だけど、美しいなんて言えなくて


みんな、働いているね


それだけ、運転手に言った


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